最高裁判所第三小法廷 昭和26(あ)1020 判決
主 文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理 由
弁護人渡辺酉蔵の上告趣意(後記)について、
所論一、は量刑不当の主張であつて適法な上告理由とならない。
同二、は第一審裁判は被告人が昭和二四年一一月三日逮捕され同二五年六月九日
判決言渡までの間二〇七日という長期を要し、被告人の迅速な裁判を受ける権利を
奪い、しかも未決勾留日数すら本刑に算入しないもので法令違反、ひいては憲法違
反であるというが、所論は、原審で主張も判断もされなかつた事項について、第一
審判決の憲法違反を主張するのであつて、すでにこの点において適法な上告理由に
あたらない。しかも、記録を調べて見ると、被告人は昭和二四年一一月一六日勾留
状の執行を受け、同年一二月三日起訴されたが、同年一二月一三日保釈許可決定に
より出所しその後不拘束のまゝ審理を受けたものである。そして当時の下級裁判所
における刑事々件の実情を考えれば第一審判決をもつて、必ずしも迅速でない裁判
であるということはできない。また仮に審判が迅速でなかつたとしても、それを違
憲として原判決を破棄し、更に審判を求めることの許されないことは当裁判所の判
例とするところである。(昭和二三年(れ)一〇七一号同年一二月二二日大法廷判
決参照)。次に未決勾留日数の全部又は一部を本刑に算入するかどうかは、全く裁
判所の裁量に任された事項であつて、その是非について経鮮則違反を論ずることは
できないばかりでなく、未決勾留日数を本刑に算入しなくても憲法に反するもので
ないことは、当裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)一〇五号同二
三年四月七日大法廷判決参照)。それ故論旨もとることはできない。
その他刑訴四一一条に当る事由も認められない。
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よつて刑訴四〇八条一八一条に従い全裁判官一致の意見により主文のとおり判決
する。
昭和二七年五月一三日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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